研究概要 |
現在学校の健康診断で使用されているGO,Gが画像診断的にどのような数値として把握できるか,数値的に把握された症例写真に対して,検者(本研究では卒後1年目の研修医)がどこまで的確に健全,GO,Gとして篩い分けできるようになるかという2点について検討した。専門家3名から得られた歯肉炎の程度(ゴールデンスタンダード:GS)をもとに,各症例写真を確率であらわされた3段階に篩い分けし,基準となるゴールデンスタンダードと研修医による判定の一致性の程度を算出することによって,各症例写真の判定の難易度を計算した。研修医の判定がGSと一致した場合の得点は(1+分布割合)/2とし,GSと一致しなかった場合の判定には,分布割合/2を得点として与えることによって補正できることがわかった。24枚のスライドに対し,それぞれの分布割合から計算した得点を合計した値を基に研修医の判定レベルとすることが理にかなっていることが示唆された。 以上の結果を基に,その難易度から判定基準の再評価(補正)を行い,最終的に(研修医がどの程度,歯肉の状態を的確に判定し,健全,GO,Gとして篩い分けする能力があるかを)評価し,歯肉炎評価の向上のためのトレーニングソフトを開発した。このトレーニングソフトは,一回5分程度の短時間で能力判定ができ,ExcelのVBAを用いたプログラムであるため,自宅のコンピュータにインストールすることによって手軽に使用できる利点がある。また7回程度の練習で統一した判定が可能であることが示唆された(キャリブレーション)。
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