研究課題
本研究では、唾液中ストレスマーカーと歯周病の病態との関連性を疫学的に調査、評価することにより歯周病の病態を反映するバイオマーカーを探求すること、ならびに将来的にプロービングに依存しないタイプの新しい歯周病スクリーニング法の開発に向けたプロトコールを試作することを目的としている。研究デザインは、高齢者を対象としたケースコントロール研究であり、福岡県に在住する高齢者171名(平均年齢68.4歳)を対象に全身の健康状態、喫煙習慣などのライフスタイル因子および歯周組織検査を含む口腔診査に加えて唾液検査ならびに唾液中ストレスマーカーのアッセイを主たる調査項目として、唾液中バイオーマーカーと歯周病の病態との関連を検討した。ストレス関連マーカーとして、コルチゾル、クロモグラニンAおよび抗加齢因子として知られるDHEA(dehydroepiandrosterone)を評価した。各ストレスマーカーを従属変数として重回帰分析を行ったところ、重度歯周病と有意な関連性がみられ(コルチゾル:p=0.036、クロモグラニンA : p<0.001、DHEA : p<0.001)、これらはプロービングに依存しないタイプの新しい歯周病スクリーニング法の開発につながる可能性を示唆したことにより、今年度は試作したプロトコールの検証を行った。歯周病スクリーニング法としての有用性を感度、特異度の他、ROC曲線を求め、適正カットオフ値の計算を行った。その結果、禁煙者に対して、コルチゾルおよびDHEAと重度歯周病(最大値5mm以上の歯周ポケットを有する場合:カットオフ値はコルチゾル2.06ng/mL、DHEA60.24pg/mL、また最大値6mm以上のアタッチメントロスを有する場合:コルチゾル2.12ng/mL、DHEA61.78pg/mL)との有意な関連性がみられ、歯周病スクリーニング法としての有用性が示唆された。
すべて 2010 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Arch Gerontol.Geriatr.
巻: 50 ページ: 272-276
Aging Clinical and Experimental Research
巻: 22 ページ: 31-35
http://www.kenkoyobou.net/hospital/