本研究では、地域包括支援センターが、市町村や地域保健機関などと連携をもって高齢者の口腔保健の保持・増進を推進するための施策づくりの方法を探るとともに、市町村レベルでの日常の地域包括支援センターでの業務に関連する歯科関連事項を支援するためのマニュアルの作成と地域包括支援センターと地域歯科医療との連携方法の方略を作成することを目的としている。 全国の地域包括支援センター2000か所に、設置状況、職員職種・職員数、担当人口、運営協議会の職種および歯科・口腔関連の不都合な事項が生じたときの対応、ならびに地域歯科医療機関との連携についてのアンケート調査を実施し、875か所から回収することができた。 センターの運営協議会に歯科医師もしくは歯科医師会の関係者の参加は392か所(45%)であった。センターの協議会で歯科・口腔が取り上げられる頻度は、「常に」「ときどき」「たまに」を合わせて、286件(33%)であった。しかし、相談等で「よく聞く」「たまに聞く」の割合をみると、「入れ歯に関すること」(89%)、「食事中のむせ」(82%)、「食べ物をうまく噛めない」(77%)で高い割合を示したが、摂食障害に異変を感じた場合の最初に相談する専門職としては、医師(29%)、看護職種(27%)、歯科医師(15%)、歯科衛生士(18%)となっていた。 以上より、地域包括支援センターと歯科関係者との連携は低いことが示された。さらに、地域での地域包括支援センターと地域歯科医療機関との連携状況が活発に行われている地域を訪れ、その現状について収集を行った結果、歯科医療機関の積極性がキーである傾向がみられた。
|