研究課題/領域番号 |
20592471
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
佐藤 田鶴子 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (40095138)
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研究分担者 |
松野 智宣 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (80199827)
小俣 和彦 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (00434142)
鈴木 哲朗 浜松医科大学, 感染症学講座, 教授 (00250184)
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キーワード | 骨粗鬆症モデルマウス / 脛骨骨折モデル / サイトカイン / マルチプルサイトカインアッセイ / サイトカインネットワーク / 酸化ストレス / 抗酸化度 |
研究概要 |
本研究は骨粗鬆症での骨折の治癒遅延に全身や局所で生じる免疫応答がどのようなに関与しているかをマルチプルサイトカインアッセイ法により解明することである。22年度はマウス脛骨を非観血的に完全骨折させ、尾静脈からの血清サンプルからサイトカインネットワークが骨粗鬆状態でどの程度変化するかを検討した。骨折1週前の測定ではIL-4のみが骨粗鬆群において有意に高値を示した。骨折1時間後にサイトカインの発現が低下し、それが24時間まで続き、72時間で骨折前の状態に回復するといった変動パターンを示すサイトカインが多く認められた。一方、IL-6とG-CSFは骨折1時間後までは受傷前とほとんど変化を示さなかったが、3時間後急激にサイトカインの発現が上昇し、24時間以降徐々に低下する変動パターンを示した。また、骨折後に骨粗鬆群と非骨粗鬆群とで発現変動パターンに大きな違い現れたのは、IL-4とIL-9であった。IL-4は術前より実験群が高値を示したいが、1時間後には急激に低下したが、非骨粗鬆群は3時間後まで骨折前とほぼ変化が見られなかった。IL-9は両群ともに1時間後に急激に低下したが、骨粗鬆群は3時間後に骨折前の値まで上昇したが、非骨粗鬆群は72時間でもわずかに上昇したのみであった。これらの結果から、ごく一部のサイトカインを除き骨折後に現れる全身的なサイトカインの発現は、骨粗鬆状態でも正常時とほぼ同じような変動パターンを示すことがわかった。したがって、骨粗鬆状態で骨折局所に生じる治癒機転の遅れは、骨折72時間以内に現れる全身的なサイトカイン変動が直接左右するものではなく、骨粗鬆状態での骨の修復機転あるいはリモデリングに関係する骨芽細胞や破骨細胞などのサイトカインレセプターの影響が関与しているのではないかと考えられた。
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