平成21年度に得られた研究成果は以下の通りである。 (1)歯髄由来幹細胞のCdによるアポトーシス細胞の観察 抜去された埋伏智歯より分離した幹細胞を種々の濃度のCd添加培養液中で培養し、細胞死の形態を観察した。Cd濃度の高低に関わらず、Cd暴露細胞に生じた細胞死の半数強はネクローシスと考えられたが、アポトーシス細胞も観察された。現在、アポトーシス細胞の詳細な観察を行っている。 (2)歯髄由来幹細胞におけるシグナル伝達機構の解明 Cdによるアポトーシス発生機序を解明する目的で、シグナル伝達系の検討を行った。Caspase活性については、各測定キットを用い、3、4、6、8、9、10を測定している。また、それぞれの膜透過性インヒビターを用いてCdによるアポトーシスの阻害を検討している。以上の測定は現在も継続中であるが、近日中に解析が終了する予定である。 (3)単細胞電気泳動法(コメット分析)によるクロマチン・DNA損傷の検討 Cd曝露によるクロマチン・DNAの損傷をコメット分析法で観察した。最終的な結論は得られていないが、CdによるDNA損傷を示唆する結果が得られている。
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