タバコ中に高濃度に含まれるカドミウム(Cd)の歯周組織破壊機構を解明する目的で、歯髄由来の幹細胞を含む数種類の細胞を用いて、実験を行った。歯髄由来細胞(DPS細胞)は抜歯埋伏智歯より分離することが出来た。PS細胞、マウス胎生幹細胞(MES細胞)、成人歯肉由来のケラチノサイト(HGK細胞)と線維芽細胞(FGF細胞)に対するCd感受性をDNA合成測定とMTTアッセイ法で測定した結果、細胞種によって異なっていた。Cd曝露されたPS細胞では、約50%がネクローシスを起こしていたが、アポトーシス細胞も認められた。さらにCd濃度を変え、PS細胞における細胞死の形態を観察した結果、10-3mM Cd濃度で培養されたDPS細胞では、約40-50%の細胞にアポトーシスが観察された。このCdによるアポトーシス発現に関与するカスパーゼカスケードは、ミトコンドリアからの経路と細胞膜受容体からの経路が存在することが示唆された。
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