研究課題
石灰化ナノ粒子は直径0.1-0.5μmの粒子で、生体内で石灰化する非生命体としてしられている。近年、EDTAを服用し、経過を追うなどの臨床研究が行われている。同様に歯周病も異所性の石灰化として歯石形成を伴う疾患であるが、CNPsと歯周病の関連を科学的に解明した原著論文は未だ報告されていない。そこで本研究は石灰化ナノ粒子を分離精製すべく生体材料をはじめとする様々な物質からCNPsの分離を試み、さらに血清および唾液にCNPsが含まれるかを検討し、CNPsと歯石形成との関係を検討した。方法として高速液体クロマトグラフィーによりウシ血清をサンプルとし、CNPsのモノクロナール抗体である8D10に反応するタンパク質を単離した。また、精製したタンパク質はSDS PAGE電気泳動により分離し、ウエスタンブロットを行った。精製したタンパク質を用いてハイドロオキシアパタイトとの結合を電子顕微鏡により観察し、コオロイダルゴールドにより染色しタンパク質の存在を確認した。ヒトサンプルの血清、および唾液とCNPsの関連についてはNano Capture ELISAを用いて定量を行った。結果として、血清と唾液中のCNPsは必ずしも相関を示さなかった。また血清中で陽性であっても唾液中で必ずしも陽性になるとは限らなかった。これは口腔内が特殊な環境であり、歯石沈着は尿路結石や腎結石と関連なく生じることを示唆している。また分離したタンパク質とハイドロオキシアパタイトとの結合を電子顕微鏡で検討した結果、CNPsのモノクロナール抗体である8D10と反応するタンパク質がハイドロオキシアパタイトと結合している状態が確認された。これらの事実はCNPsが歯石形成に関与することを示唆するものである。
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