本研究はエナメル質の脱灰・再石灰化のミネラル濃度による評価と結晶学的構造分析を対比することを目的とした。エナメル質の粉末試料をメンブレンで封入しCMRによるミネラル濃度解析とFTIRならびにTEMによる結晶相の分析を行った。その結果、再石灰化後のエナメル質の結晶はCMRによる分析では有意差が認められない場合でも、健全エナメル質の結晶構造は異なっていた。また、ミネラル濃度解析と結晶構造解析を比較するための本研究方法は4週間以上再石灰化時間を確保した場合の評価が妥当であると言えた。したがって、脱灰・再石灰化の評価はミネラル濃度解析だけでなく結晶構造分析も行うことが重要であると言える。
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