研究課題/領域番号 |
20592481
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
須釜 淳子 金沢大学, 保健学系, 教授 (00203307)
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研究分担者 |
紺家 千津子 金沢大学, 保健学系, 准教授 (20303282)
中谷 壽男 金沢大学, 保健学系, 教授 (60198124)
大桑 麻由美 金沢大学, 保健学系, 准教授 (30303291)
真田 弘美 東京大学, 医学系研究科, 教授 (50143920)
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キーワード | 動物モデル / 低栄養 / 病理 / 看護学 |
研究概要 |
年度当初は組織耐久性の低下因子である低酸素モデルを開発する予定であったが、低酸素の実験操作上の定義、作成装置等に時間を要することが判明したため、低栄養ラットモデルについて組織学的に検討を行うことに変更した。 【低栄養モデルの作成】8週令のWister系オスラットに無タンパク食(100g中:カロリー377.2kcaL,カゼイン0%、コンスターチ77%)を与え飼育した。28日後の体重は、正常飼育ラットの56%であった。また、血清総タンパク質は4.7g/dl、血清アルブミンは2.5g/dl以下となり、ヒトの低栄養と同じ状態を再現できた。 【低栄養モデルの皮膚病理組織所見】正常飼育ラットと比較し、真皮層は薄く、真皮層と皮筋の間に観察される脂肪組織がほとんどなかった。また真皮層の大部分を占める膠原線維も厚みが薄かった。膠原線維の種類を見分けるためにI型とIII型に関する特殊染色を行った。III型コラーゲンは血管周囲、結合組織、筋膜に細い線状に見られた。I型も真皮層全体に観察された。これらの所見は、正常飼育ラット同様の所見であった。アザン染色切片で測定した皮膚の単位面積当たりのコラーゲン割合を測定した結果、正常飼育ラットより有意に少なかった。 【考察】低栄養のスクリーニング指標のひとつである血清アルブミン3.5g/dl以下のラットモデルを用いて皮膚の構造を観察した。脂肪組織がほとんどないことから、外力を緩衝する作用がなく、ダイレクトに筋肉に作用を及ぼすことが考えられ、深い褥瘡形成の要因のひとつとなることが示唆された。また、真皮層の厚みが薄い、すなわち量の不足も外力に対する組織耐久性の低下を示している。今後、耐久性の低下と加圧に対する組織反応を検討する必要がある。
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