研究概要 |
看護学生の喫煙行動を起こす危険度を測定する尺度の暫定版を作成するために,看護学生の喫煙行動に影響を及ぼす因子を明らかにし,尺度の質問項目作成の資料とすることを目的にデータの分析を行った。看護大学生1・2年次生782名のアンケートを基に,従属変数を喫煙経験の有無,独立変数を年齢,性別,生活形態,家族・同居者・友人の喫煙,自覚的身体健康度,ストレス度,生活満足度,喫煙への態度,喫煙の身体影響に関する知識度,今までの喫煙防止教育を受けた回数としたロジスティック回帰分析を行った。対象者の属性は,男性52名(6.6%),女性730名(93.4%),平均年齢は19.0±1.2歳であった。調査時点での喫煙率は全体で2.9%,男性9.6%,女性2.5%,喫煙経験者は全体で41名(5.2%),男性10名(19.2%),女性31名(4.2%)だった。喫煙行動の予測に有効な因子は,性別(男性)(オッズ比3.169, p<0.05),友人中の喫煙者数(オッズ比1.825, p<0.05),看護師が喫煙することへの態度(オッズ比1.019, p<0.01),喫煙に対する肯定的態度(オッズ比1.072, p<0.001),喫煙に対する否定的態度(オッズ比0.971, p<0.001),喫煙防止教育を受けた回数(オッズ比1.561, p<0.01)であった。また有意差は認められなかったものの,自覚的身体健康度(オッズ比0.707, p=0.087),私生活上のストレス(オッズ比0.625, p=0.067),年齢(オッズ比1.252, p=0.108)も影響を及ぼす可能性が考えられた。以上の結果をもとに暫定版尺度を作成し,喫煙行動に影響を及ぼすことが明らかになっている自己効力感尺度,ライフスキル尺度などとの関連性を明らかにして尺度の信頼性・妥当性を検証する。この尺度により,喫煙行動を起こしそうな看護学生を未然に発見し適切な介入を行うことができ,また喫煙防止教育の評価指標としても利用することが可能と考える。
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