研究課題/領域番号 |
20592492
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
宮崎 伊久子 大分大学, 医学部, 講師 (30347041)
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研究分担者 |
原田 千鶴 大分大学, 医学部, 教授 (80248971)
志賀 たずよ 大分大学, 医学部, 准教授 (90305847)
寺町 芳子 大分大学, 医学部, 教授 (70315323)
永松 いずみ 大分大学, 医学部, 助教 (50347019)
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キーワード | 医療安全教育 / 危険予知トレーニング(KYT) / リスク感性 / 看護実践能力 / 判断課程 |
研究概要 |
本年度は、基礎看護教育で、領域別看護学実習前の危険予知トレーニング(以下KYTとする)を導入したプログラムに加え、領域別看護学実習後にもKYTを実施した。教材の検討と学生の危険予知の傾向や学びを明らかにし、リスク感性を高める医療安全教育プログラムについて検討する。 1.領域別看護学実習前プログラムでは、看護者の責務の自覚が芽生え、リスク感性の高まりは認められた。反面、KYT記録「学生の危険予知の判断過程」の分析から、事実の解釈や推論過程に飛躍や矛盾が認められ、論理的思考による本質追及が困難であることが分かった。また、「医療安全実践能力」の分析から、医療安全の知識や理論を使って考える思考基盤の獲得は不充分など学生の思考力の課題が明らかになった。これらの学生の特徴と学習段階を踏まえ、領域別看護学実習前の医療安全セミナーに加え、領域別看護学実習後にKYTを実施するプログラムとした。なお、学習段階を考慮し、学生の能動的な危険予知のために教材を動画事例にした。 2.領域別看護学実習後のKYTで、学生は実習場面を想起し、実習経験を生かしながら危険予知を行っており、チームを意識した危険要因を挙げるなど実習前と比較して視野の広がりがみられた。また、実習後にKYTを行ったことで、学生が自己の実習を振り返る機会となり、医療安全に関する学びを深めるとともに、医療安全の意識や危険予知能力が向上している事を実感していた。また、学生は、患者の動的変化や場面を注意深く観察し、時間が移行したことで発生する状況変化を捉え、予測的に場面を解釈し危険予知を行っており、実習を経験した学生にとって、動画事例が学生の実習経験を想起し統合することを促進していた。 これらより、学生のリスク感性を高める医療安全教育プログラムには、学生の実習経験を生かしリスク感性を高めるよう時期や教材を考慮し、段階的な学習プログラムの必要性が示唆された。
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