研究目的は成人看護学領域で教育・評価すべき看護技術を選定し、それらの到達度を明確にしたOSCEによる成人看護技術実践能力評価プログラムを開発することである。 21年度は、2年次生のOSCE実施評価を踏まえ、成人看護学領域の到達目標とOSCEプログラムの修正および3年次生を対象にしたOSCEプログラムを作成し、実施評価を行った。 1. 成人看護学領域の教員が担当する授業・実習の到達目標と本学が示す学年次到達目標を文部科学省の「看護実践能力育成の充実に向けた大学卒業時の到達目標(2004)」と照合し、「知識レベル」、「実践能力レベル」での到達度を明確にした。さらにOSCE出題可能な項目についても再検討し、一覧表(OSCE MAP)を作成した。 2. 実践能力評価プログラムの修正は、2年次OSCEの実施評価から確実な知識に基づく実践能力を習得するにはOSCE実施前・後に学生が主体的に知識や技術を自己評価できる方略が必要であると考え、OSCE実施約3ヵ月後に希望学生30名に同様のOSCE課題を実施した。結果、総合得点の平均値は前回の得点を上回る18.6点(満点28点)であった。前回点数の低かった観察項目が高い傾向にあり、反復練習の成果が伺えた。また、OSCE課題の修正については評価教員の評価の一致率を算出し、一致率の低い評価項目にっいて修正した。 3. 3年次生のOSCEプログラムを作成・実施した。OSCE課題はOSCE MAPの中から「肺切除術を受けた患者の術後の観察とケア」を設定した。評価項目は17項目とし、0-1-2の3段階で採点した。OSCE受験学生数は参加同意の得られた11名。課題の総合得点の平均値は15.5(満点34点)であった。難易度の高い評価項目は、麻酔覚醒(患者の足先の運動)の確認、四肢末梢の皮膚色の観察で、難易度の低い項目は、胸腔ドレーンの排液量の正確な測定、麻酔覚醒(開眼の有無)の確認であった。
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