研究目的は成人看護学領域で教育・評価すべき看護技術を選定し、それらの到達度を明確にしたOSCEによる成人看護技術実践能力評価プログラムを開発することである。22年度は20、21年度のOSCEの形成評価、検証結果を基にOSCEによる成人看護技術実践能力評価プログラムを開発した。プログラム構成と概要を以下に示す。 1.成人看護学領域で教育・評価が必要な看護技術項目の抽出・選定 1)OSCE MAPの作成:講義・演習・実習による学修到達度を明確にするために、成人看護学領域を中心とした関連する各専門必修科目の到達目標を看護実践能力育成の充実に向けた大学卒業時の到達目標(文部科学省、2004)に対応させたOSCE MAPを作成。2)教授する看護技術項目と評価方法の整理:OSCE課題を構成する看護技術項目を抽出・選定するために看護師の技術項目と卒業時の到達度(厚生労働省、2007)を参考に成人看護領域で教授する看護技術項目とその評価方法を整理した一覧表を作成。 2.OSCE実施運営方法の決定:OSCE実施日程、課題の実施時間、場所、必要人員数(教員・模擬患者)OSCE課題数を決定し、実施計画を立てる。 3.OSCE課題の作成:OSCE MAPと成人看護領域で教授する看護技術項目と評価方法を整理した一覧表を基にOSCEで出題可能な看護技術項目を組み合わせ、OSCE課題を作成。 4.OSCE実施の準備:学生へのインフォメーションとOSCE運営マニュアルの作成 5.模擬患者の研修・トレーニング 6.OSCE実施と評価・改善策の検討:OSCE結果から学生の到達度、OSCE課題の目標・内容・評価項目の妥当性、課題の難易度、OSCE運営方法について評価。評価結果を基に次年度の改善策を検討。 今後は、開発したプログラムの見直し・検討を行いながら継続的に運用してゆくとともに、SPを活用したOSCE課題だけでなく、生体シミュレーターによるOSCE課題を作成し、双方の特徴を生かした課題を学生に提供し、成人看護学領域における看護技術実践能力の育成に取り組んでいく。
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