研究課題/領域番号 |
20592495
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
武田 利明 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (40305248)
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研究分担者 |
平野 昭彦 岩手県立大学, 看護学部, 准教授 (30305255)
似鳥 徹 岩手県立大学, 看護学部, 准教授 (90128934)
石田 陽子 岩手県立大学, 看護学部, 助教 (60322335)
小山 奈都子 岩手県立大学, 看護学部, 助教 (40347191)
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キーワード | 抗がん剤 / タキソール / 血管外漏出 / 看護技術 / 有害事象 / 血管炎 / 基礎研究 / 組織学的検索 |
研究概要 |
抗がん剤の漏出については、臨床症状として『血管痛』や『血管炎』も含まれることが化学療法センターの看護師との勉強会において明らかとなった。そこで、臨床で頻回に上記の症状が発現するタキソールを選択し、ウサギの耳介を使用して抗がん剤による血管傷害について検討した。薬液の濃度については臨床で使用している濃度1.5mg/mlとし、また溶液としては生理食塩液または5%ブドウ糖として比較検討した。投与後、毎日1回14日間連続で肉眼的観察を行った。その結果、肉眼的な観察では血管炎などの異常所見は観察されなかった。しかし、投与後14日目の耳介について病理標本を作製し、組織学的に観察したところ、血管の一部の傷害像が確認できた。そして、この変化は5%ブドウ糖を溶媒として使用した薬液で強く認められる傾向にあった。この知見を化学療法センターの看護師に説明したところ、臨床においても5%ブドウ糖を溶液として投与された患者に上記の変化が多く認められることが明らかとなった。このように、臨床で認められる異常所見を基礎研究で得られた知見で説明することができる研究成果であり、有害事象を回避するための指針作成に有益なデータが得られたと考えている。臨床では、タキソール以外にドセタキセル(タキソテール)のスキントラブルが全国的に問題となっており、早急に対応策を検討する必要がある。来年度は、これらの薬剤を使用して、有効なケア方法についての基礎研究を実施する予定である。
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