研究課題/領域番号 |
20592495
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
武田 利明 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (40305248)
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研究分担者 |
平野 昭彦 公立大学法人岩手県立大学, 看護学部, 准教授 (30305255)
似鳥 徹 公立大学法人岩手県立大学, 看護学部, 准教授 (90128934)
三浦 奈都子 公立大学法人岩手県立大学, 看護学部, 助教 (40347191)
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キーワード | 抗がん剤 / タキソール / 有害事象 / 看護技術 / 実証的研究 / 実験動物 / グリセリン浣腸 / がん化学療法 |
研究概要 |
がん化学療法に伴う有害事象を回避するための研究として、血管拡張を目的とする温罨法の影響に関する基礎研究を実施した。抗がん剤としてはタキソールを使用し、ウサギの耳介に温罨法を施行した後に薬剤を投与した場合と温器法を施さないで投与した場合について比較検討した。その結果、温罨法を施行した場合は耳介5例で3例に、投与後4~5日目に穿刺部周囲に発赤や腫脹が認められた。この変化は7日目までに認められその後徐々に軽減した。一方、温罨法を施さない場合は穿刺部に発赤が確認されたのみであった。このようなことから、抗がん剤の投与前に安易に温罨法を実施すると、有害事象を発現するリスクが高まることを示唆する知見が得られた。また、この有害事象は投与直後に認められるのではなく数日後に発現することが明らかになった。したがって、外来で化学療法を行っている場合は、次の来院までに有害事象が発現する可能性があることを示しており、この内容も新たに得られた知見である。患者の教育・指導にはこの研究内容を活用することが重要であると考えられた。次にグリセリン(GE)浣腸の有害事象に関する研究として、投与量と温度について検討した。実験動物としてGEの薬理試験に使用されているラットを選択した。ラットにヒトで通常使用されている量に相当する用量とそれよりも多い場合を想定して実験を行った。その結果、用量がより多いGEを投与した場合は激しい下痢が認められた。これまでに実施した研究からGEの量はわずかな量でも排便作用があることがわかっており、臨床での使用量はやや少なめで実施することの方が患者への苦痛も軽減し良いと考えられた。また、GE液の温度については、看護専門書で推奨されている温度40℃よりも室温に近い温度の方が粘膜の変化に影響は少ないことを示すデータが得られた。したがって、実践の場ではお湯で温めることよりは人肌の温度でGEを実施することが望ましいと考えられた。
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