研究概要 |
離床に焦点をあてた動作評価システムにおけるピックアップツール開発の可能性について検討することを目的に,本研究の初年度である平成20年度は電導ゴムの歪み速度別による特性の定量を行った.その結果,測定した3速度域における応力と伸び比には線形の関係が得られたものの,引っ張りと弛緩により導出される電位変動は荷重後の時間の経過とともに減弱していくことが明らかになった.離床動作に伴う手術創における物理的負担度を定量的に評価するための方法を確立することに焦点を当てて検討を行った.この検討からは,離床に焦点をあてた動作評価システムにおけるピックアップツール開発とその実施方法について明らかにされることが期待できることから,次年度の臨床への応用を想定した検討の基礎的な情報を得ることができた. そこで電導ゴムの3速度における電位変動特性を元に,腹部正中創を想定した部位の皮膚への装着方法の策定を行った.すなわち,初期長90mmの電導ゴムをあらかじめ120mmに伸張し,その下端を臍上5cmの腹部正中線上に設置し,非伸縮性のテープによりその両端を固定する.また,皮膚への密着性を高めることによりデータの再現性と精度を向上させることを目的に,伸縮性の高いテープ(TJ0817:ジョンソンエンドジョンソン)を用いて電導ゴムを覆う.その縦張力測定用の電導ゴムの中心点にもう1本の電導ゴムの中心点を直角に重ね合わせ,同様の方法により設置したものを横張力に用いるという測定方法を確立した.実際に被検者に装着した電導ゴムの反応性は良好で,体位の変換に伴う動作をリアルタイムで評価することが可能であった. 以上の成果を元に,実際の患者にピックアップを装着し臨床応用可能なデータの獲得ができた.
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