平成20~21年度の研究成果で、看護のトップマネジャーの高業績特性として11のカテゴリー53の能力を抽出した。今年度は更にこれらの導き出されたディクショナリーの内容に更に検討を加えて、5つのコンピテンシー領域、28の分野、217のコンピテンシー項目よりなる看護のトップマネジャーのコンピテンシーモデルを作成した。 抽出したコンピテンシーモデルの妥当性・有用性を確認するために、500床以上を有する一般病院でかつ日本医療機能評価機構の病院機能評価の認定を受けた332の病院の看護部長職にある看護管理者を対象に質問紙調査を行なった。調査は本研究で導き出した217のコンピテンシー項目について、現在そして将来にわたって、看護のトップマネジャーが効果的に職務を遂行するために、各項目がどの程度、重要であるのかを4段階(3:大変に重要、2:重要、1:有益だが重要でない0:必要なし)で評価してもらった。 その結果、47名(回収率、14.2%、回答所要時間が1時間程度のため回収率が低くなったと考えられる)の看護部長より回答が得られ、46名を有効回答とした。所属施設は、都道府県市町村、地方独立行政法人が45.7%、国立・国立病院機構が23.9%、日本赤十字社が6.5%、その他が23.9%であった。看護部長・看護局長・総看護師長が76.1%、看護部長職と副院長を兼務している者が23.9%であった。調査の結果、「有益だが必要なし」、あるいは「必要でない」項目が明らかになり、これらは現在の看護部門のトップマネジャーの認識を表していると同時に、今後の取り組み課題でもあると考えられる。今後は、看護管理者より成るグループ・インタビューにより、各項目の表現や必要性のレベルを更に究明し、現実に看護管理者のコンピテンシー評価に用いることのできるモデルとする予定である。
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