本研究の目的は、1) 看護師の看護実践における倫理的行動の実態を把握し、2) 倫理的行動に影響を及ぼす要因を特定し、相互作用を明らかにすることである。 21年度は前年度に引き続き、自記式無記名の質問紙を用いた実態調査を実施した。研究協力の承諾の得られた病院を対象病院とし、これらの病院で患者の看護に直接携わる看護職約800名に質問紙を配布した。質問内容は本研究の枠組みに従い、看護師の経験年数や教育背景等の個人的な要因と対象者が所属する職場の要因、看護師の倫理的行動(Ethical Behavior Test日本語版)、看護実践能力(Six Dimension Scale日本語版)、看護師の仕事に対する価値のおき方と満足度、バーンアウト、仕事の継続意思に関するものである。 調査の結果、前年度と合わせて885名から回答が得られ(回収率49.7%)、対象者の平均年齢36.9歳、平均臨床経験14年であった。Ethical Behavior Testから、5つの倫理的場面で用いられた倫理的動機として、Kohlberg道徳性発達段階のStage4(社会システム・秩序への志向)とStage5(社会契約的法的志向)に該当するものが多い、等の実態が明らかになった。現在、倫理的行動に影響を及ぼす要因について分析を行っている。分析結果は今後看護系学会にて発表予定である。
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