4つの基礎調査結果から課題を抽出し、最終目的である定年退職後看護職者の人材活用システムの考案に取り組んだ。課題として、調査1(定年前の看護職者の定年後就業意向調査)からは、定年前に定年後の就業意識の向上を要すること、調査2(雇用者への雇用状況調査)からは、高齢者施設における人材確保のための雇用ニーズはが高いが、実際に雇用している施設は少なく、雇用しても就業者の意識改革ができない他の理由で継続しない等、調査3(定年後看護職者の就業実態調査)からは、高齢者施設では、他職種との連携困難、責任加重などからストレスが大きいこと、病院においても、配置場所によっては多忙で正規雇用者と同様の働きを求められるにもかかわらず、雇用条件が厳しい等、調査4(再就業サポートシステムの現状把握調査)からは、ナースセンターにおいては、定年後看護職者の登録数は少なく、その理由としてはパソコンによる登録の複雑さと、啓蒙不足等が抽出できた。以上の課題を統合した結果、各施設での取り組みとしては、定年後の再就業意識向上のための「定年退職前看護職者に対するセカンドキャリア支援教育(高齢者施設等の就業への意識改革、技術教育などを含む)の早期推進」、再就業者の雇用条件整備のための「定年退職年齢延長制度の積極的な推進」、「定年後看護職者の就業ニーズに合わせた働き方を取り入れる組織文化改革の推進」、「定年後看護職者の適正配置マニュアル作成」などである。ナースセンターの取り組みとしては、有効な再就業支援のために登録システムの改善と啓蒙促進、定年前登録制度化等の推進。そして、各医療福祉施設とナースセンターは、定期的な会議等を持ち連携を図る等の人材活用システムを考案した。
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