本研究は、看護大学生の「目標の喪失・学習意欲の低下」といった問題に焦点を当て、調査対象を看護大学生と看護系以外の一般大学生に絞り、自己教育力と親子間の心理的距離との関連を分析し、成長発達過程における人間形成要因が、現在の自己教育力にどう影響しているかを明らかにすることである。 平成19年度に実施した予備調査結果では、成長発達過程において、両親が肯定的評価を与え心理的距離の近い関わりをしてきたか否かが、学生の成長・発展への志向、自信、プライド、心理的安定性といった「自己教育力」の向上に影響していた。また、一般的に目的意識が高いとされる看護学生でも不安・不全感・不安定性が強く自信や心理的安定性に繋がる教育的アプローチの検討が示唆された。本年度は、この予備調査から得られた結果を基に、調査項目や評価スケールの妥当性、文章の表現方法などを再検討し、本年度の8月と12月の2回にわたり郵送法による全国アンケート調査を実施した。 21年3月までで合計53大学(看護学系学部学科24大学、看護学系以外学部学科30大学)、6785名からの回答を得た。現段階でのデータの属性は、国公立大学32.8%・私立大学67.2、男32.9%・女66.9%、1年生31.8%・2年生28.1%・3年生21.5%・4年生17.6%、という結果であった。回収が遅れている1大学のデータが未入力のため、「自己教育力」や「親子間の心理的距離」に関する調査項目の結果については集計の途中である。尚、調査に協力いただいた各大学学部学科の代表者に大学毎の集計結果をフィードバックした。21年度の計画では、今年度のデータの分析と、学会発表、論文作成を行う予定である。
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