看護の対象者が看護者に期待する「安楽」について明らかにするために、術後6ヶ月以内の患者を対象に調査をした。分析は質的KJ法を用いて分析した。調査は6名行ったが、今回は分析した1名の結果を報告する。結果:Aは80歳男性、閉塞性大腸症で開腹手術を受けた。内科的療法も含め50目間入院した。「語り」の内容は過去3回入院した病院の看護師との比較が多かった。対象Aの個別分析を、質的統合法により得られた結果を以下に述べる。なお、シンボルマークは【】で示した。Aの語った内容から元ラベルは99枚であり、4段階のグループ編成を得て最終ラベルは6つのシンボルマークのグループに統合できた。看護者に期待する「安楽」は、【毎日の声かけと具体的な説明】、【先取りのケア】、【自己決定のための説明】、【日常生活の拡大のための目標の提示】であった。その「安楽」を支えるものは、【看護者への期待は優しさと心遣い】であり、入院生活の基盤となるものは【療養生活への適応は体験と環境の配慮】であった。考察:看護職に患者が期待する「安楽」の中で一貫して語られていることは「説明」であった。患者は治療方針の変更や不安なことに対して看護師を含む医療関係者からの「説明」、つまりインフォームドコンセントの【毎日の声かけと具体的な説明】と【自己決定のための説明】により、安心して療養生活ができたと考える。「説明」は医療従事者が頻回に病室を訪れ「声をかける」ことにより心の交流が生まれ信頼関係の樹立、さらに、不安なことや疑問を医療従事者に質問することにより相互関係に発展していたと考えられる。【日常生活の拡大のための目標の提示】により、《退院後の生活も不安なくできた》ことに結びついた。
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