看護の対象者が看護者に期待する「安楽」について明らかにするために、退院後6ヶ月以内の患者11名を対象に、入院中に受けたケアについてインタビューをした。対象は整形外科5名、消化器外科3名、乳腺外科3名、性別では女性が7名、男性4名であった。調査内容は質的KJ法を用いて個別分析、全体分析した。その結果、全体分析は7段階のグループ編成を得て、6つのシンボルマーク[]を抽出した。6つのシンボルマークは、「安楽でない状態」を中心に「安楽な状態」と「満足したケア」、そして、その基盤となるのが「看護者への期待」に分類できた。患者が「安楽」と感じる状態は、[セルフケアの自律][個別的なケア][適切な説明]であり、「安楽」でない状態は[療養生活上での痛み]、「満足したケア」は[患者のケアの実践に対する満足]である。患者が看護者に期待する「安楽」な状態とは具体的には、[セルフケアの自律]は「人の手を借りながらもその人らしい人生を送ること」であり、[個別的なケア]では「個別に基づく日常生活や生活の再構築」、[適切な説明]は「適切な説明による意志決定と安定した療養生活」である。逆に「安楽」でない[療養上の痛み]は、「治療・日常生活の拡大、生活の再構築に伴う痛み」である。次に、「満足したケア」とは「個別を尊重した安全を基盤とするケアと患者と看護者の相互作用」であり、その基盤となる[看護者への期待]は、「元気な笑顔、優しさ、心遣い、丁寧なケア」である。 今回の調査から、外科系の患者が看護者に期待している「安楽」は、[セルフケアの自律][個別的なケア][適切な説明]であるが、これらは、「個別を尊重した安全を基盤とするケア」と「患者と看護者の相互作用」よるケアにより実現できていることが示唆された。
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