看護の対象者が看護者に期待する「安楽」について明らかにする目的で、退院後6ヶ月以内の外科系11名と内科系9名の患者を対象に、入院中に受けたケアについて半構成的インタビューをした。対象の性別は女性が14名、男性6名であった。調査内容は質的統合法(KJ法)を用いて内科・外科別に個別分析、統合分析をした。統合分析の最終ラベルのシンボルマークを用いて全体分析をした。その結果、患者の期待する「安楽」は、以下に分類できた。(1)身体的・精神的な苦痛の緩和に関する【生活の拡大に伴う痛み:退院後の生活の準備と機能回復のリハビリの痛みと緩和】【順調でない回復:予測されることの対応と先取りのケアの不足】、(2)自己決定に関する【自己決定:検査や治療の具体的な説明による納得】【適切な説明:患者の自己決定と安心した療養生活】、(3)生活の再構築とその人らしい生き方(自律)に関する:【病気との折り合い:病気の受容には長時間を要す】【病気との付き合い:環境調整と疾病の予防、自律】【生活の再構築:個別に基づく日常生活や生活の再構築】【その人らしい人生:自律を目指したセルフケアの援助】に分類できた。これら看護の対象屋の考えは看護ケアにより創出されていた。 以上の看護の対象者が考える「安楽」と、看護実践者が考える「安楽」の【体が楽】【気持ちが穏やか】【自己決定の範囲の拡大】【セルフケアと自律】)を比較した結果、それらの内容はほぼ一致するものであった。即ち、苦痛の緩和は、身体的な緩和の【体が楽】と精神的な苦痛の【気持ちが穏やか】、自己決定は【自己決定の範囲の拡大】、生活の再構築とその人らしい生き方は【セルフケアと自律】と考えることができる。これらのことから、看護の対象者および看護師の考える「安楽」の概念は、【体が楽】【気持ちが穏やか】【自己決定の範囲の拡大】【セルフケアと自律】の要素で構成されていると言える。
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