産褥期のサービス・マネージメントを行う上で、産褥期のサービスの構成要素を抽出し、サービス・マネジメントを思考する上で注目されている『サービスプロフィットチェーンモデル』を援用し、産褥期のサービスシステムの構築を図ることを目指し、2008年度は、産褥1か月までに実際に受けているサービス、希望するサービスについての調査を2つの方法で行った。 第1に、産後1か月の女性を対象に、質問紙調査を実施した。その結果、実際に受けたサポートは実父母、夫と親族からのものとが70%以上であり、専門家からのサポートは10%程度であった。希望するサポートでは、専門家に向けられたものが半数を占めていた。その他、家事、育児の手助けを求めており、経済的支援や夫への希望は少なかった。第2に、産後1か月の女性を対象に、インタビュ調査を行った。その結果、産後1か月は、つらいけれども、何とかやり過ごしている時期であることが明らかになった。この背景には、産後1か月までの女性は、里帰りにより実家の家族に支えられおり、産後1か月の段階でも非親族によるネットワークが構築されていることが考えられた。また、女性たちは専門家からの「ほんの少し」、「気軽な」サポートを求めており、そのシステムを構築する必要性が明らかとなった。また、先の質問紙調査の際に、サービスに対する費用負担についての調査をあわせて行った。その結果、2000円前後の値段であればサービスを受けてもよいという女性が多いことが明らかになった。 さらに、先駆的なサービスを提供している都内の産後ケアセンター、神奈川の県立病院と助産所との連携のあり方について、訪問調査を行った。その結果、地域に根ざしたサービスの提供をする上での課題が明確になった。 次年度に向け、さらにモデルとなるシステムを調査するとともに、諸外国でのあり方も視野に入れた調査を進めてきたいと思っている。
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