産褥期のサービス・マネージメントを行う上で、『サービスプロフィットチェーンモデル』を援用し、産褥期のサービスシステムの構築を図ることを目指し、2009年度は、地域との連携にあり方に関する検討、ドイツ、フランスでの家族支援の実際の調査を行った。 2008年度に抽出された希望するサービスをいかに提供できるかについて保健センターの保健師、大田区助産師会の会員と共に9回の検討会を行った。その結果、産後1か月まで必要なサービスは、施設退院後2~3日目には母親自身の身体、母乳育児のこと、10~13日目では母乳育児、家族関係の調整、新生児の変化についての相談や実際的な説明や指導であることがわかった。また、退院後2週間経過しても産後の生活に適応できない場合は、さらに継続的にかかわる必要性を見出した。その中で施設助産師の役割も重要であることが確認された。 ドイツ、フランスへの訪問では、両国の保健省、教育省、病院を訪問することで家族支援策とその実際について学び、産後1か月までの母を支援するためのサービスの示唆を得た。具体的には、「怪しい」と感じたときにすぐに介入するために、妊娠中、あるいは出産後の入院中から、施設勤務者は地域の専門家に連絡できるシステムが整っていることが確認できた。その中でも特に、リスクのある家族に対しては対面でのサービス提供が重要であることがわった。しかし、現在日本では、母子サービス提供を主に行っている助産師の83%が施設に勤務している現状であり、地域で活躍している者は極わずかである。地域との連携のあり方に関する検討会でも、施設助産師の果たす役割として、産後1か月までの母子および家族を支援する一員として広く活用する必要があることが明らかとなった。 そこで、最終年である2010年度は、モデル事業として施設助産師が提供できる支援を検討し、実施評価する研究を実施したいと考えている。
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