本研究は、ケアの質を保証する効果的な人的資源管理のための看護実践環境の評価を可能にするシステムの構築を目指し、日本の看護師が仕事を継続し、専門職として成長しつつ質の高い患者ケアを提供することを支える看護実践環境を評価するツールを開発することを目的としている。平成21年度は、看護実践環境の構成要素と看護師の仕事継続および患者ケアの質との関係についての仮説を検証するために、看護実践環境を測定する質問紙の作成に取り組んだ。平成20年度にインタビュー等により抽出したカテゴリーを元に、質問項目を作成し、国内外のエキスパートパネルによる内容妥当性の検討を経て、質問紙案を作成した。また、作成した質問紙案を用いて、看護師を対象にパイロットテストを行い、質問内容が容易に理解できるか、回答が容易であるか等について検討し、質問紙の精錬を行った。さらに、患者ケアの質を測定するための、測定項目およびデータ収集方法を検討した。検討過程で、看護介入による患者ケアの質の測定は、その妥当性の検証が難しく、また、医療機関から看護単位別の死亡率、再入院率等の標準化されたデータを収集することが困難であることが判明した。そこで、実践の看護管理者との意見交換を行い、患者ケアの質を測定するために現状でデータ提供が可能な指標についての検討を行った。これらの検討を経て、プレテスト用の質問紙を完成させ、3病院9看護単位250名の看護師を対象にプレテストを実施した。
|