研究課題
本研究は、在宅認知症患者を介護している家族が、介護という行為を人権思想を中心に、どのように認識し実践しているかを検討することである。すなわち、家族介護者の実態や患者の状況を把握し、家族の人権意識と家族・患者の各要因がどのような関係性をもつかを明らかにする。そのために家族介護者の尊厳性認知尺度を開発する。究極は、認知症患者の尊厳性を保つためのケアサポートモデルを構築し、家族支援のよりよい方法論への示唆を得る。平成20年度は下記の活動を行った。1.文献研究医学中央雑誌で、1983年〜2008年までの期間、認知症、高齢者、尊厳性をキーワードとして検索した結果、73編の論文が報告されていた。1994年までの論文は皆無で、1995年以降の報告においても、十分な内容ではなく、本研究を実施することの意義が確認できた(2009年、ICN国際看護学会で発表予定)。2.尊厳性認知尺度の作成会話、対応、インフォームド・コンセント、健康・治療、生活スタイルの5領域から成る53項目の質問紙を独自に作成した。尺度の信頼性・妥当性は次年度に検討する。3.家族介護者及び認知症患者に対する調査調査は愛媛県N市の1病院(精神神経科専門病院の物忘れ外来)で実施した。32家族の対象者に対して、尊厳性認知度、ストレス認知度、介護疲労度、認知症重症度、ADL等について調査した。認知症患者32名全員が65歳以上であり、平均年齢は79.9歳であった。また中等度・重度の認知症患者を介護している家族は、当然のことながら介護を負担に感じていた。次年度以降、調査対象者を増やし、調査内容の分析をする。4.スウェーデンにおける調査認知症患者の家族に対するインタビュー等を行い、家族は日本と同様な苦悩をもっていることが判明した。次年度以降の研究に上記した内容を活用・発展させる。
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