研究課題/領域番号 |
20592529
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
吉川 千鶴子 福岡大学, 医学部, 講師 (60461539)
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研究分担者 |
原田 広枝 福岡大学, 医学部, 教授 (60380383)
中嶋 恵美子 福岡大学, 医学部, 准教授 (30461536)
須崎 しのぶ 福岡大学, 医学部, 助手 (20469381)
山下 千波 福岡大学, 医学部, 助手 (30469382)
川口 賀津子 福岡大学, 医学部, 助手 (40469383)
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キーワード | がん化学療法 / 塩酸セビメリン / 口内炎予防効果 |
研究概要 |
研究目的:健常ボランティアを対象にした基礎実験により、セビメリン含嗽が唾液分泌促進に有効かどうかを検証した。その後、セビメリン含嗽による唾液分泌促進と口内炎予防の関連を検証する基礎データを得ることを目的として、がん化学療法を受ける患者に逐次比較試験を行なった。 研究方法:対象は健康な成人男女19名。研究デザインは、対照群と実験群を同一対象とし、無作為割り付けとする逐次比較試験である。実験前の準備として、影響要因を最小にするため、活動、食事、歯磨き、水分摂取などの条件を統一した。含嗽水は対照群と実験群に味の差がないようにした。対照群は、含嗽水50ml(精製水100ml+メントール20mg+炭酸水素ナトリウム1g)を2回に分けて口に含んで2分間経ったら吐き出すよう指示した。含嗽後に唾液分泌量と口腔水分率をサクソンテストと口腔水分計で測定した。唾液分泌量は、電子天秤による測定値と口腔水分率を測定値とした。時間的変化は、5分、0.5時間、1時間、2時間、3時間後に測定した。実験群は、セビメリン含嗽水50ml(セビメリン塩酸塩水和物+メントール+炭酸水素ナトリウム+精製水)を使用し、対照群と同じ方法で含嗽し、唾液分泌量と口腔水分率を測定した。測定結果から唾液分泌量と口腔水分率の個人別変化率を比較しセビメリン含嗽の唾液分泌効果を検討した。 結果:唾液分泌量の個人別変化率は、19名のうち15名は実験群(セビメリン含嗽)が増加していた。4名は30分後の唾液分泌量にバラツキがあり、差がないものや対照群の方が高いものなと刺激の効果が見られなかった。0.5、1時間、2時間、3時間後の変化率は個人差が大きく時間経過との傾向は確認できなかった。実験群と対照群のWilcoxonの符号付き順位検定では、5分後(p<0.005)、1時間後(p<0.021)2時間後(p<0.033)3時間後(p<0.047)で実験群に有意な増加がみられ、セビメリン含嗽の刺激による唾液分泌促進が確認できた。セビメリン含嗽の刺激は近接する唾液腺に作用すると推定されるので刺激時よりも安静時の方が増加すると予測していたが、時間経過にそった増加は確認できなかった。 以上の基礎実験を経て、口内炎の既往がある患者を対象として30例を目標に逐次比較試験を行なっている。現在までに外来化学療法を受けている患者3名(悪性リンパ腫1名、大腸癌1名、乳癌1名)入院患者7名(悪性リンパ腫5名、多発性骨髄腫2名)の比較試験を終了し症例数を重ねている。
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