若年乳がん生存者が、診断時から調査時点までにどのような困難と情報ニーズを有するかを明らかにすることを目的に、フォーカスグループディスカッションを行った。参加者を乳がん診断時35歳以下群と36歳〜45歳以下群に分け、それぞれ6名前後のグループを構成し、ディスカッションを行った。なお、FGDへ参加できない人には個別にインタビューを実施した。結果、両群において「予期しないがん罹患」たよる若年患者に特有の問題と、年代を超えて共通する問題が抽出された。若年患者に特有の問題としては、「結婚に関する問題」「妊娠・出産に関する問題」「親への申し訳なさ」「雇用就労問題」「周囲からの同情への不快感」「同年代の仲間がいないこと」などが述べられた。年代を超えて共通する問題としては「経済的問題」「医師とのコミュニケーション」「再発の不安」「情報不足」などが挙げられた。両群の年代の違いによると考えられる事柄として、子どもの年代が違うことによる困難が述べられた。情報ニーズについては、「閉経や妊娠・出産に関連した抗がん剤やホルモン療法に関する情報」「子どもへの説明に対する支援」という若年ゆえのニーズが挙げられた。年代を超えた情報ニーズとして、「診断初期の正確な情報提供」「相談窓口の設置」「体験者の話し」などが挙げられた。具体的な情報の内容としては、「今後起こりうること」「フォローアップについて」「再建術」「補助食品」など様々であった。診断時からフォローアップまでこれらの困難と情報ニーズに応える情報を提供し、同年代の体験者同士の関わりも促進させることの必要性が見出されたことは意義深いと考える。
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