本年度は、昨年度に引き続き、若年乳がん生存者が、診断時から調査時点までにどのような情報ニーズを有するかを明らかにするため、データ収集としてフォーカスグループディスカッションを行った。情報ニーズに関する内容が飽和したことを確認し、データ収集を完了した。結果、参加者は、56人(診断時35歳以下34人、診断時36-45歳22人)となった。情報ニーズとして【医学的な情報】【同病者の経験に基づく情報】【生活面に関する情報】が抽出された。【医学的な情報】には、『乳がんの基礎知識』として「病態」「治療」「フォローアップ」「乳房再建」「遺伝」など、『医師とのコミュニケーション』として「どのように医師と関わるか」、『情報提供の方法』として「情報提供の均てん化」「相談窓口の設置」などが含まれる。【同病者の経験に基づく情報】には、『同病者の体験談』として「治療後の妊娠・出産」「こどもへの説明・接し方」「恋愛・結婚」など、『患者会の情報』が含まれる。【生活面に関する情報】には、『仕事』として「保障(休み、給与)」「人間関係の調整」「雇用面接への対応」「職場での健康診断への対応」、『家庭』として「治療中の患者に対する支援(家事・育児)」「こどもへの説明・接し方」「親への説明・接し方」「夫/パートナーへの説明・接し方」「パートナーの会」が含まれる。本調査により、若年乳がん生存者がどのような情報ニーズを有するかが明らかになった。今後、抽出された若年乳がん生存者の情報ニーズがどれくらい充足されているかを調べ、充足されていない情報ニーズを提供するためのプログラムを開発することが必要である。その基礎資料として、本調査の結果は重要であり、意義深いと考える。
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