研究課題/領域番号 |
20592545
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研究機関 | 群馬県立県民健康科学大学 |
研究代表者 |
中西 陽子 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 教授 (50258886)
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研究分担者 |
廣瀬 規代美 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 准教授 (80258889)
小林 万里子 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 講師 (20433162)
二渡 玉江 群馬大学, 医学部, 教授 (00143206)
倉林 しのぶ 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (20389753)
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キーワード | がん患者 / 終末期 / 遺族 / 壮・中年期 / 心理支援 |
研究概要 |
本研究では遺族の心理的葛藤が最も大きいとされる壮・中年期の配偶者と死別した遺族に焦点を当て、在宅と施設での死別による心理経過、家族側が捉えるケアの必要性、内容に違いがあるのかを明らかにし、遺族ケアにおける看護の役割について検討すると同時に、遺族ケアのプログラムを作成することを目的としている。 平成23年度は、施設(研究協力施設の一般病棟)で末期がん患者(緩和ケアチームの関わりがあった患者)であった配偶者を看取った遺族15名(男性6名,女性9名)との面接を実施した。施設で配偶者を看取った遺族は、23年度までの累計で女性12例、男性14例の計26例となった。既に分析を終了している在宅で配偶者を看取った遺族19例の分析結果と比較した結果、在宅、施設ともに遺族にとって心理的に最も苦悩する時期は、患者の死後1年~1年半であった。在宅で看取った遺族は、在宅での介護の満足感がそのつらい時期を乗り越える糧となっていた。一方、施設で看取った遺族のうち、特に男性遺族は、告知を含む初期の医療との関わりに不満や疑問を抱えた場合、そのことが遺族として約3年経過した現在においても心理的に影響を及ぼしている傾向にあった。また、男性ゆえに思いを吐き出せない状況で、特に思春期・青年期の子供を持つ場合は、死別した配偶者の役割代行に困難を来し、療養中から死別後までも子供との関わりに心理的葛藤を抱えることも明らかになり、性差による遺族ケア内容の検討への示唆を得られた。 遺族ケアプログラムには、遺族が正常な悲嘆プロセスを辿ることができるように、死別後1年~1年半の間に医療者側から意図的な関わりを持ち、面接、電話、遺族会への参加等の直接遺族に声が届く方法にて精神的ケアを行うこと、遺族会等の継続的に所属できる場所を作り社会参加を促すことが重要な要素であることが明らかになった。
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