1型糖尿病の女性の妊娠・出産に向けた効果的な看護援助について探求するために、1型糖尿病女性の妊娠から出産育児に至るまでの療養上の体験と工夫を明らかにする。〈方法〉対象は、大阪府立母子保健総合医療センター内の糖尿病患者会に参加し妊娠、出産、育児を体験した1型糖尿病女性11人(20歳代2人、30歳代7人、40歳代2人)とした。医療者3人(医師1人、看護師2人)を加えて妊娠、出産、育児を体験した糖尿病の女性と「妊娠、出産、育児についての体験」についてグループでディカッションした。ディカッションの内容を逐語録にし、妊娠中から出産育児に関連した関連した発言を抽出し、分類整理した。〈結果〉出産までは、大きく『良好な血糖コントロールを維持するための療養上の体験と工夫』と『安心して出産に臨むための療養上の体験と工夫』の2つに分かれた。『良好な血糖コントロールを維持するための療養上の体験と工夫』は、《妊娠中の療法の調整》《血糖自己測定》《妊娠中の食事療法》《低血糖時の身体反応と対処》《低血糖症状と周囲の人への協力の依頼》《妊娠中の薬の血糖への影響》の6テーマが見出された。育児期では、『授乳中の低血糖に関する体験と工夫』、『療養と子育ての両立に関する体験と工夫』、『出産後の療養に関する体験と工夫』、『子どもに糖尿病のことを伝えること』の4つの領域が見出された。(考察〉妊娠出産、育児中の1型糖尿病女性は、療養と妊娠出産育児を両立していくために、夫をはじめ周りの協力を得ようとしていた。妊娠・出産・育児を経験した1型糖尿病女性の経験知は糖尿病の妊娠・出産にっいて情報を得たいすべての人に役立つことが示唆され、医療者は、妊娠出産育児期にある1型糖尿病女性のニーズを把握し支援する必要があると思われる。
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