本研究の目的は、再発がん患者の治療法の意思決定を支援する看護援助モデルの開発と評価である。平成23年度の目的は、平成20年度から21年度に行った調査研究で明らかとなった再発がん患者の治療法の意思決定への影響要因をもとに検討した「再発がん患者の治療法の意思決定を支援する看護援助モデル」(以下、援助モデルとする)を用いた援助を研究協力施設で実施し、援助を受けた対象者と援助モデルを用いて援助を実施した研究協力者からの援助モデルの評価により、援助モデルの臨床適応について評価すると共に、モデルを臨床に広く適応させるための検討事項を明確にすることである。 援助モデルを用いた援助を行った患者は女性2名と男性1名(60歳代が2名、70歳代が1名)であった。援助終了後の患者から、「疑問を感じた時に聞ける看護師の存在が助けになった」「氾濫する情報により何が正しいか分からない為、共に整理してもらえて助かった」「家族に相談できない事も一緒に考えてもらえて助かった」「説明に同席した看護師に後日聞きたい時、会う方法が分からなかった」「治療法の説明後、選択肢に関して分かるように医者と患者の中間になる人が必要」等の意見が出た。援助を実施した研究協力者からは、「患者との治療法に関する検討は、医師の説明直後よりは数日後の方が、理解する為の疑問を患者が出しやすい」「医師の説明後、意識して訪問すると治療開始後も治療中や治療後の生活も含めた相談を受けた」「外来で決定や治療を行う患者と関わる時間の確保が難しい」等の意見が出た。以上の結果より、意思決定支援は医師の説明に同席することから始まる為、説明に同席できるように日時の調整方法の検討が必要である。説明直後から継続して関わりながら疑問を解決して決定できるように支援することや決定後の支援の必要性が示唆されたため、外来も含めて継続して関わる方法の検討も必要であることが明らかとなった。
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