平成20年度は、先行研究結果や文献検討を行った上で、「SCAQ改訂版の洗練-妥当性の検討」と「SCAQ改訂版使用手順書の検討(慢性疾患をもつ人のセルフケア能力を高める看護実践の具体的な内容の検討)」のための調査を実施した。 1.方法:研究参加者は、調査協力への同意を得たセルフケア能力を高める看護に精通した看護師および研究者11名であった。尚、調査は日本赤十字看護大学の研究倫理審査委員会の承認を得た上で実施した。参加者に、SCAQ改訂版と使用手順書(慢性疾患をもつ人のセルフケア能力を高める看護実践内容を含む)を提示した上で、グループ・インタビューもしくは個人面接調査を実施した。グループ・インタビューに要した時間は平均90分、個人面接時間は29分であった。 2.結果および考察:洗練したSCAQ改訂版の内容は、看護の質を高める上でも有効であるとされ、妥当性が支持された。患者のなじみやすさという点から、質問紙の名称を「SCAQ」とし、構成概念の名称を、「健康のために気をつけていること」、「健康のために選んでいること」、「体調を整えること」、「生活の中で続けること」、「支援してくれる人をもつこと」に修正した。SCAQ使用手順書(慢性疾患をもつ人のセルフケア能力を高める看護実践内容を含む)は、全体としてわかりやすく、看護実践に生かせるものであるとされ、妥当性が支持された。SCAQ改訂版を研究のみに使用する人もいるため、手順書は「実践者用」の他に「研究者用」も作成した。次年度は、使用手順書(実践者用)を「慢性疾患をもつ人のセルフケア能力を高める看護実践」手順書としてさらに洗練し、手順書を使用した看護の効果を検討する調査に取り組む予定である。
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