本研究は血液透析治療を目的とする新規AVF造設を施された患者に対して、AVF育成に必要である適切な運動介入時期と期間についての介入研究を実施し、合理的な運動内容および運動負荷の開始および中止時期、さらに看護方法の最適化についての根拠を明確にすることであった。現時点での結果では、研究協力対象者数が少なく、その運動介入時期、期間についての一般化に必要な分析・評価はできていない。引き続き研究協力対象者を求め介入研究を継続中である。 以上の理由もあり、H21年度は主に看護方法の最適化の課題について先行検討することとし、AVF造設患者に対する日常生活におけるAVF管理についての調査を質的研究方法で実施した。その結果、維持透析患者の認識は「透析治療の継続と必要性の意識」をもち、自己管理を「自分なりの方法で管理できている」と認識し、日常生活を過ごす「適正な管理者」と意識し、「それぞれの管理方法がそれぞれの今後を左右する」とし、自らの「今後の在り様」について模索している様子が伺えた。透析医療技術の高度化や透析液の進歩に伴い、治療に関する食事、水分、体重管理などの看護支援はほぼ確立されており、それらの自己管理は習慣化されてきている実態があった。 先の介入研究において、新規AVF造設者に対する運動効果があることを得ていることがあり、合理的な運動内容および運動負荷の開始および中止時期についての根拠を明確にできれば、AVFの再建術や狭窄時の手術を減らすことを可能にし、結果的に患者に生じる身体的苦痛や経済的負担などの減少に寄与し、患者の生活拡大が図られQOLの向上が期待できると考えている。的確な看護支援を提供する根拠として本研究の成果は基礎研究として位置づけている。 今後H22年度では、上記の調査に引き続き、全国調査として日本透析医学会施設会員1000件を対象とする新規AVF造設の自己管理関連調査を予定している。
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