研究課題/領域番号 |
20592570
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
北宮 千秋 弘前大学, 大学院・保健学研究科, 准教授 (10344582)
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研究分担者 |
一戸 とも子 弘前大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (10110412)
鈴木 光子 弘前大学, 大学院・保健学研究科, 講師 (90113810)
扇野 綾子 弘前大学, 大学院・保健学研究科, 助教 (70400140)
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キーワード | 慢性疾患患児 / 母親 / 主観的幸福感 / 他者依存性 / コンボイモデル |
研究概要 |
小児慢性疾患を有する子どもは、病気によってはその病気とともに様々な医療・保健・福祉・教育のもとで数年または生涯生きていくことを余儀なくされる。従って、慢性疾患患児と保護者への支援においては、継続的ケアシステム作りを構築することが、子どもと保護者の生・生活の質を保証するうえで重要な課題である。 最終年度は慢性疾患患児の母親のコンボイモデルを作成し、社会的支援ネットワーク構造を明らかにすること、健常な子どもを育てる母親との比較から、慢性疾患への医療的なかかわりのある母親の特性をみいだすことを試みた。コンボイモデルは各重要他者を心の距離で示し、0を自分自身、4を遠い存在としたときに、夫、実母、義母、友人、近所の人が同心円状にどのように配置されるかを検討するものである。慢性的な疾患をもち継続して外来受診をする子どもをもつ母親を通院群、日常的に外来通院をする必要が無い子どもをもつ母親を健康群とした。 コンボイモデルを平均および最頻値を参考に配置すると、健康群は夫、実母が同心円状の1に位置し、義母および友人が2、近所が3に位置付いた。通院群も同様であった。両者のコンボイモデルには有意な差は見られなかった。 そこで、乳幼児期の母親を対象とし、コンボイモデルが示す重要他者との心の距離、他者依存性、主観的幸福感との関連を検討した。その結果、主観的幸福感が低いときに、健康群は夫および義母との距離が有意に離れていた。他方、通院群は義母および友人の距離が有意に離れ、夫との距離に違いは見られなかった。健康群は夫との距離が主観的幸福感と関連するのに対し、通院群は影響を受けないことが示唆された。他者依存性を情緒的依頼心と社会的自信の欠如から検討したところ、通院群に近所と付き合いが無い場合に、情緒的依頼心と社会的自信ともに有意に低かった。
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