研究概要 |
1.データ収集体制の確立:(1)研究承諾を得た女子学生20名と一般女性2名に対してほぼ2週間毎に1回の間隔で(1)28経絡のAMI測定(BP値:分極前電流値)、(2)基礎体温(BBT値)測定、(3)自記式質問紙の記入(女性の体調調査、月経前症状調査(BMQ)、POMSテスト)によるデータ収集を実施。データ解析は、第1期4月~9月、第2期10月~23年3月の2段階に分けて行い、22年度末の段階で被験者6名を選びAMI測定所見と自己の体調評価に関する聞き取りを実施した。(2)前述に加え不妊と冷え症、AMI所見の観点から冷え性研究の蓄積データ99名(女性・20歳代)のAMI、BP値所見を再分析。2.測定結果と所見-1)性周期とBP値:継続的に測定できた被験者は17人でAMIデータは102件、有効データは93件であった。AMI測定時の性周期はBBTグラフで判定し卵胞期31件、黄体期54件、不明39件、平均基礎体温は卵胞期36.25℃(±0,267)、黄体期36.53℃(±0.275)の差(t=-3.87、n=52、p=.000)があった。性周期の2群間でBP平均値(分極前電流値)は14経絡の左右全てで有意差は検出されなかった。しかし、最大値と最小値の変動係数をみると卵胞期群が黄体期群より大きく、「膀胱経」24.8%、「脾経」22.6%と続き10経絡が20%以上の変動を示していた。-2)冷え性所見とBP値:冷え性と非冷え性の2群比較では皮膚の機能を司る肺経と大腸経の低下は認めなかった。しかし「心包経」「胃経・隔ゆ」「腎経」の低下と自覚症状により、冷えのタイプが示唆された。3.研究の意義と重要性:22年度の研究意義は、女性の性周期フェーズによってBP値(気の流れ)が、卵黄期と卵胞期とで変動差に違いがあり、さらに特定の経絡に変動差が大であることの示唆を得たことである。本研究の重要性は、今回の結果から、不妊や冷え性、女性のマイナートラブルの診断視点としてこれまで存在していなかった基礎データが提供できる点である。4.23年度の課題:(1)女子大生及び不妊女性の被験者を確保し継続的な測定データの蓄積(2)的確なデータ解析手法の確立(3)看護診断への適用可能性の考察
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