研究概要 |
【目的】本研究の目的は月経前症候群とストレスの関連性の明確化と、月経前症候群に対するストレスマネージメントの評価を行うことにある。今年度は月経前症候群とストレスの関連性を明確化することを目的とした。 【対象と方法】18〜45歳の女性を対象に質問紙調査を行った。測定用具は筆者らがAmerican Co11ege of Obstetricians and Gynecologists (ACOG)による月経前症候群の診断基準を加えた修正版Menstrual Distress Questionnaire (MDQ)、Stress Check List桂・村上版(SCL-KM)、ライフスタイルである。質問紙は1,536部郵送し、回収した762名(回収率49。6%)のうち662名(有効回答率43.1%)を分析対象とした。分析にはPASW17.OJを用い、t検定、ピアソンの積率相関、重回帰分析を行った。 【結果】対象の年齢は平均30.8(±7.7)歳であり、ACOGによる診断基準に基づき月経前症候群と推測されたのは35.3%であった。SCL-KMはMDQと,月経前、月経時、月経後で有意な相関を認めた(r=.490,.547,.475,p<0.001)。ストレスに対処できないと回答した女性はできると回答した女性よりも、喫煙する女性はしない女性よりも月経前・月経時・月経後のMDQ、SCL-KMが有意に高かった(p<0.05)。さらに、月経前症状を従属変数とした分析の結果、「ストレス」(bs=.498,p<0.001)「年齢」(bs=.084,p<0.05)「飲酒」(bs=.078,p<0.05)が有意な独立変数であった。 【結論】月経前症候群はストレス反応が強いほど症状も強くなり、年齢、飲酒による影響が認められ、ストレス対処行動、喫煙などのライフスタイルとの関連性も高いことが明らかにされた。
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