研究概要 |
【目的】本研究の目的は月経前症候群とストレスの関連性の明確化と、月経前症候群に対するストレスマネージメントの評価を行うことにある。今年度は月経前症候群とストレスの関連性を生理学的指標と心理的指標により明確化することを目的とした。 【対象と方法】基礎体温の測定と月経随伴症状の記録から,月経前症候群(PMS群)の女性12名と対照群(N-PMS群)12名を対象とした。2周期に渡る月経前・月経時・月経後の各期に、生理的指標として唾液中分泌型免疫グロブリンA(sIgA)、唾液中グロモグラニンA(CgA)、唾液中コルチゾール、唾液中アミラーゼを指定の方法に基づき自己採取し測定した。心理的ストレス指標は、POMS(緊張・抑鬱・怒り・疲労・混乱・活気)、STAI(状態・特性)、ストレスチェックリスト(SCL)を測定し、月経随伴症状を得点化(PS)した。 【結果】PMS群とN-PMS群との比較では、PMS群がN-PMS群よりもPOMS(緊張・抑鬱・怒り・疲労・混乱)、STAI(状態・特性)、SCL、PSの値が有意に高かった。sIgA、CgA、コルチゾール、アミラーゼでは両群間の値に差を認めなかった。月経周期による変動ではPMS群においてsIgA、STAI(特性)、POMS(抑鬱・疲労)、PSの値が月経前・月経期・月経後の順に有意に高く(p<0.05)、N-PMS群では変動を認めなかった。また、sIgAはSTAI(特性:r=.433,p<0.05)、POMS(活気;r=-.452,p<0.05)、PS(月経前;r=.58,p<0.05)との相関が有意に認められた。 【結諭】唾液による生理学的指標と心理的指標から、月経前症候群の女性はストレス反応が高くまた、ストレス反応には月経による周期性が認められることが示された。一方、生理学的指標では、ストレスの期間・質による影響への課題が示された。
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