小児遺伝医療では複雑な葛藤・苦悩をもつ稀な染色体異常児の両親との関係性を大切にしながらチームアプローチの中で看護実践していく。そのためには、関係性についてアセスメント・評価をすることが重要である。 看護師が抱く稀な染色体異常児の両親(母親・父親)へのイメージについて意味微分法を使って明らかにするため、その調査の準備を進めた。具体的には意味微分法で使う形容詞対の内容の検討、プレテストの実施、調査対象者の確保のために研究の概要を説明するという活動である。同時に行っている稀な先天異常の看護を通して看護師が抱く疾患へのイメージに関する研究結果から、Wolf-Hirschhorn Syndromeの看護診断の特徴と疾患に関するイメージの分析内容を国際遺伝看護学会で報告した。ギリシャヘルメット用顔貌などの特徴をもつ本疾患患児ヘネガティブなイメージを抱いた内容は無かった。また、わが国の周産期・小児期を通した、稀な染色体異常児の両親に対する遺伝看護ケアの特徴について国際遺伝看護学会で報告した。結果から、稀な染色体異常児の両親が抱く可能性のある子どもへのネガティブなイメージを打ち消して前向きに考えるような働きかけが多かったことが浮き彫りになった。 低頻度染色体異常児をもつ両親には多くのケアニーズが存在する。そのケアの提供は、看護者との関係性が形成されていないと「先天異常」といった、プライバシー性の高い内容には介入しにくい。その意味で、現在進めている関係性の定量的評価は、自分が看護者として介入する際の関係性の良否を示す指標となり得る。次年度以降は、調査を継続して進め、具体的な分析に展開する予定である。
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