研究概要 |
本年度は看護師と非医療者がいだく染色体異常児・遺伝医療用語に対するイメージについて明らかにするため,その調査を進めた.「優性遺伝病」「劣勢遺伝病」「ターナー症候群」の疾病についてのイメージと,遺伝医療用語は「遺伝外来」「遺伝カウンセリング」「染色体」「羊水検査」といった遺伝医療現場で比較的良く用いる用語についてのイメージについて調査した. 「ターナー症候群」という疾病のイメージについては,「知りたい-知りたくない」「限りのある-果てしない」「避けられる-避けられない」「軽い-重い」「必然の-偶然の」の項目で非医療者(N=412)と医療者間(N=83)に有意差がみられた.「ターナー症候群」のイメージの要因を検討するために主因子法因子分析(バリマックス回転後)では,「果てしなさ」「苦悩」「診断」「恐怖」の4つの因子が抽出された.しかし,因子寄与率は28.8%と低値で妥当性に疑問がのこるため,医療者への調査数を増やして再検討する. 「染色体」「遺伝外来」「遺伝カウンセリング」「羊水検査」などの遺伝医療用語のイメージ分析では,「染色体」では「治る-治らない」「必然の-偶然の」「責任のない-責任のある」の項目で非医療者のネガティブなイメージ得点が高かった.「遺伝外来」については「明るい-暗い」「知りたい-知りたくない」「個人-家族の」「治る-治らない」の項目で非医療者のネガティブなイメージ得点が高かった. とくに,遺伝外来では断続的に患者・家族と関係性を築いていくため,暗いイメージ,知りたくないと言った気持ちの強さ,家族への心配,治らないかもしれないという怖さといった心情に配慮した対応・パンフレットの準備が重要である.
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