研究概要 |
1.研究目的:(1)青年期1型糖尿病患者のメンターとしての経験を明らかにする。(2)介入プログラムの評価を行う。 2.研究方法:メンターの効果側定には,属性,一般性自己効力感尺度、メンター尺度を使用し,Friedman検定を行った。介入セッション後1か月と6か月に面接調査を実施し,メンターの経験を質的記述的により分析した。プログラム評価については,12か月後に思春期及び青年期患者から回答を得て内容分析を行った。 3.研究成果:(1)メンターの一般性自己効力感尺度の得点は,介入セッション前後で有意な上昇を認めなかった。メンティーへの親密性を示すメンター尺度の総得点は,介入セッション後6か月以降に低下した。(2)青年期患者が行ったメンタリングは,メンティーとの関係性が発展したパターンと,関係性が途絶えたパターンの二つの局面があることが明らかになった。関係性が発展したパターンは,【かかわり方に戸惑う】【かかわりを続けるための連絡方法を工夫する】【かかわりを促進するための背景を活かす】【関心を示し自然体でかかわる】【かかわり続ける】【状況を把握し自己管理上の悩みを理解する】【自分自身の体験を正直に語る】【気遣う】【気持ちを察し受け止める】【頑張りを認め喜びを共有する】【判断力を育て自己決定を促す】の11のカテゴリーで構成されていた。一方,関係性が途絶えたパターンは,【かかわり方に戸惑う】【連絡に苦慮する】【メンタリングの効果に疑問を感じる】【関係性の発展に困難感を抱く】【かかわりが途絶える】の5つのカテゴリーから構成された。そして,青年期患者は,【かかわり続ける】【メンティーの頑張りを自分の励みにする】【病気を理解しあえる仲間の存在とつながりを大切にする】【糖尿病と向き合う】【メンターとしての責任感と役割を自覚する】といったメンターとしての経験により支援者としての【新たな自分の可能性を発見する】成長がみられていた。(3)介入プログラムの評価として、介入セッションは「身近な事例に強い共感を持ち取り組めた」「自己管理行動に対する自分の取り組みを振り返り,今後の意欲を生み出す機会となった」と,好評であった。また,継続メンタリングは「相談にのってもらえ安心できる」「励ましや有効なアドバイスがもらえる」「本音が言える」とメンティーは満足していた。一方,メンターは「連絡手段の改善の必要性」「連絡時間の調節と確保」などの課題と,6か月以降には「反応のないメンティーへのかかわりに関する困難性」を指摘していた。メンターへの看護援助内容では,「メンター自身のゆらぎを支えメンターとしての機能が果たせる状況に整える援助」,「メンティーとメンターの関係をつなぐ援助」,そして,「メンターの聴くかかわりを支持し,かかわりの中でメンターが意識していない支援内容を可視化させる看護援助」が重要であった。
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