研究概要 |
【目的】低出生体重児と関連が強かった妊娠関連のストレスに焦点をあて、妊娠期のストレス自覚と心の健康自己評価質問紙(WHO)および妊婦の生活調査票(ライフスタイル)の項目を前向きに調査(観察研究)し、アウトカムとして出生体重との関連を分析する。 【方法】1)調査対象と方法:妊婦(追跡目標数400名)。選出基準にあった妊婦の初期(妊娠第16週まで)・中期(16-27週・末期(33-34週),出生、までを追跡し、妊娠の各期に心の健康自己評価質問紙(WHO)および妊婦の生活質問紙調査を行う。児の出生体重は病院よりデータを得る。2)分析:有効回答数573名を妊娠3期別に分析した。出生本重群の比較は、低出生体重児群(10名)、正常児群(124名)間で行った(Wilcoxn検定)。 【結果】1)573名の妊娠3期別による、心の健康度と心の疲労度の比較では有意差はみられなかった。しかし、サブ項目の「家族不安」では前期が末期より高く有意差がみられた(P<.05)。同様に妊婦のライフスタイルでは「妊娠に関するストレス」と「職場の満足度」「生活習慣」は、前期が中期と末期より低値であった。「日常ストレス」、「仕事、地域、医療の各サポート」,「生活満足度」に有意差はみられなかった。出生体重群別では、「心の健康度」と「心の疲労度」の相関係数(Spearman(p)は、正常児群は0.35(p<.0001)で弱い関連であった。一方、低出生体重児群のそれは、-0.58(p=0.07)であり,両群の心のあり様は異なっていることが示唆された。また、全体の「心の健康度」と「心の疲労度」は両群に差はみられなかった。しかし、低出生体重児群は正常児群より、下位尺度である丁達成感」が低い、「社会的つながり」の不足が有意にみられた。ライフスタイルには両群の差はみられなかった。
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