本研究では育児幸福感を高めるための支援プログラムを開発し評価するという研究課題(基盤研究C)の最終年度に実施したプログラムの評価をふまえ継続開発を試みる。このプログラムの特徴は23人の母親に対する聞き取りから明らかにされた、母親自身が子育て期をより幸福に過ごすことへの工夫をプログラムに反映させた。 具体的には呼吸法や笑顔で過ごす、自分を見つめる、良いところを認める、子どもの気持ちを振り返る、幸せな時を意識し大切にする、未来の姿を思い描くなど盛り込み約2時間の少人数参加型のプログラムを企画した。また、プログラムに参加した後も活用できる「いきいき子育て手帳」を作成した。さらにプログラムに参加していない非介入群を設定し、非介入群に対する縦断的な調査を行った。 育児幸福感尺度の実用化に向けては、回答者の負担を考え8下位尺度(41項目)からの3または4下位尺度(20項目前後)に項目を精選した短縮版の作成をすること。また、本尺度と生理的指標(脳波やコルチゾール等ストレスの度合を表す)との概念的妥当性の検討、そして尺度結果の判断基準の明確化により活用性を高めるという課題が残されている。そこで、本研究では、尺度項目の精選と、尺度によって得られたデータの判断基準を作成し、子育て支援の現場での実用化を目指すものである。併せて、育児幸福感に及ぼす要因について就労形態別検討を行ったものを論文としてまとめること、また2007年度に行われた調査から中国の母親の育児幸福感の比較を試みた。コースプログラムによる評価論文は現在投稿中である。
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