本研究は、平成20年~23年の4年間の期間で、次の目的で遂行した。1.妊娠期の栄養状況及び生活習慣と授乳期間との関連を明らかにする。2.授乳継続を阻害する因子と考えられる喫煙・職業・児の哺乳力・授乳回数・本人が受けた授乳方法などとの関連を明らかにする。3.妊娠期からの栄養摂取状況および生活習慣と月経再開時期との関連を明らかにする。 平成20年度より、研究協力者の登録を開始し、対象登録125名のうち産後18か月まで追跡調査できたものが79名(63.2%)であった。 得られたデータより以下の結論が得られた。 1.対象妊婦の非妊時BMIは、やせの妊婦は全体で12.6%であり、初産30歳以上に限ると23.1%と、やせの割合が多かった。妊娠中の体重増加は、9.78±3.90kgであり望ましい体重増加であった。児の出生体重は3061±342gであり、平均出生体重と近似していた。妊娠期栄養素等摂取量は、鉄、ビタミンBl、B2、B6において全対象者が、葉酸は96.4%、タンパク質においては77.5%の者が推奨量を満たしておらず、妊婦が低栄養であることがわかった。 2.妊娠中の体重増加を8.5kg未満群、8.5以上11.Okg未満、11.Okg以上群の3群に分類し、栄養摂取状況ならびにPFCバランスをみたところ、脂肪割合が、8.5kg未満群とll.Okg以上群で理想値を超えており食生活の欧米化が進んでいることがわかった。 3.産後3か月(90名)、産後6か月(85名)において、妊娠期に摂取した食品群と母乳継続の有無との関連についてロジスティック回帰分析を行った。産後3か月では、母乳非継続群が継続群に比して、砂糖類でオッズ比が有意に低かった。産後6か月では、いも類、藻類、乳類、油脂類、菓子類でオッズ比が有意に高かった。母乳継続には、妊娠期からの食事摂取量が関連することが示唆された。
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