近年多胎児の出生率が高まる中、多胎児育児に対する支援の必要性が検討されている。多胎児は虐待の危険因子にもなっており、多胎児と母親との関係性を支援することは重要な視点であるが、多胎児との母子相互作用や関係性についての実証的な研究は海外の文献で少数見られるのみである。そこで、本研究では、双生児と母親との母子関係の形成過程を縦断的に調査することによって、母子関係形成プロセスの特徴と構造を明らかにし、その関係性を促進する因子および阻害する因子を探索し、双生児と母親との健全な母子関係を促進するための介入の示唆を得たいと考えている。 今年度は研究方法(質問紙および家庭訪問調査)の信頼性妥当性を検討し、質問紙調査表および面接ガイドを作成し、関係機関(大学・医療機関)の倫理審査委員会の審査を受け、承認を得た。研究対象者をリクルートする際の手続き方法を調査協力医療機関と確認し、現在研究対象者の選定に入っている。研究対象者は、20組を予定しており、新生児期から修正月齢18ヵ月までの縦断的家庭訪問調査を承諾した核家族家庭であり、子どもについては、退院時健康であり障害や疾患を認めない同性の双生児、母親は初産婦とした。今後修正月齢1か月になるのを待って、訪問調査を開始する予定である。また、家庭訪問については、研究者を含めて、看護師免許を有する者、あるいは乳児の発達の知識を持つ者が実施することとし、研究についてのオリエンテーションを行い、データ収集に偏りがないように配慮している。
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