本研究は、研究対象者を出産後まもなくからリクルートし、生後18か月までを定期的に追跡していく縦断的調査を中心とした事例研究である。事例数を増やすために新たな研究フィールドの開拓を試み複数の施設に協力依頼をしたが、新たな開拓施設からの事例紹介は得られなかった。現在収集できたデータは非常に少なく一般化することはできないが、得られたデータから途中経過として見出したことを報告する。 母親の双子に対する認識として、生後間もなくからそれぞれの特徴をとらえていることがわかったが、実際の関わり方に対する違いはほとんどなく、双子の二人を同じに扱い育児をしていた。抱く頻度なども同じになるよう配慮が見られた。3か月以降になると、双子の個性を見極め、育児の介入方法にも子どもそれぞれにあった対応をするようになっていたが、12カ月では育児介入の違いは少なくなってきた。関係性は双子間での偏りが3カ月頃から見られ始めるが、この経過と変化については、事例においてそれぞれであり、さらに慎重に検討していく必要がある。母性意識は、子どもの月齢が進むと肯定的な得点は高くなり、否定的な得点は低下しており、子どもの成長と共に育児に慣れ、育児を楽しむようになっている。 3~6か月は、とても安定した時期となっていた。一方で、育児困難感は月齢によりばらつきが見られ、GHQについてもいずれの月齢でも身体症状を示すことが多く見られた。どの事例も夫の協力は得られ、母親の精神的な支えとなっていることが示されたが、身近に理解者協力者がいても、双子育児は母親の心身に負担があることは示された。また、3か月は育児に慣れる時期と考えられるが、この時期にうまく育児に取り組めているのか、母親が自信を喪失していないか、双子をどのようにとらえているのか確認する大切な時期であると考えられる。 事例数が少ないため今後も調査を継続し、事例数を増やし事例分析を進めていく。
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