本調査は、(1) 対児感情評定尺度、(1) Stress Coping Inventor、(3) Japanese Prenatal Self-Evaluationを用いて妊婦の母親役割入の精神的適応過程における対処結果を明らかにすると共に、測定尺度に示される結果を導く妊婦の心理状況を面接調査により明らかにすることから妊婦の母親役割への適応過程における対処パターンを明らかにすることを目的としている。 しかし、(3) Japanese Prenatal Self-Evaluationの質問項目をめぐり、調査施設の倫理委員会の審議に時間を要し、研究方法及び調査方法の変更が必要となったことから、調査開始の時期が予定より大幅に遅れている。また、本研究は、ローリスク妊婦を対象としているが、調査施設はハイリスク妊婦の受け入れが増加し、対象選定が厳しいことから、予想以上にデータ収集が難航している状況にある。 現在、研究計画における調査1:横断的調査から測定項目及び面接データの妥当性・信頼性の問題を確認するため、ローリスク妊婦30名を目標数とし、面接調査を行っている途中である。サンプルデータの分析では、(1) 妊婦のストレス対処は、「対決型」と「責任型」が低い傾向を示すこと、(2) 「自己コントロール型」対処を用いる妊婦は、児への「回避感情」が低い結果であり、本研究の基礎研究と同様の傾向を示している。面接調査による分析結果では、「自己コントロール型」対処を用いる妊婦は、「夫との関係性」よりも「実母との関係性」を求めている高い傾向にあり、現実的に母親となることへの対処を行っていくことが推測される。 今後、データ数が揃った時点で、統合分析を行い妥当性・信頼性を確認していく予定である。
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