早期産で出生した子どもの睡眠リズムを正期産で出生した子どもと比較すると、修正月齢12か月前後では、未熟性が残ることが、先の研究で明らかとなった。特に夜間睡眠時間が短いこと、夜間睡眠中の体動数が多かった。今年度は、修正月齢12か月以降の睡眠リズムを比較検討した。その結果、夜間睡眠時間は修正月齢1歳半前後で延長し正期産児と差がなくなるという結論に至った。しかし、夜間体動数に関するデータは、月齢進行に伴い減少する傾向があるものの、一部でその傾向がみられなかったケースも存在した。このような点から、発達経過順調な極低出生体重児の中でも、生後の成長発達にリスクとなる周産期の要因(IUGRなど)を考慮して睡眠リズムの発達を追跡する重要性が示唆された。PSIの質問紙調査の分析の結果、早期産児を育てる母親の育児ストレスは、正期産児を育てる母親よりも高いこと、児の睡眠効率が育児ストレスを高めている可能性がみられた。そこで、本研究から明らかとなった早期産児の睡眠特徴を、神戸市総合児童センターで実施されている「極低出生体重児とその家族のための親子教室」における育児相談の場で母親に情報提供している。さらに、本調査で採用した睡眠データの収集方法を用いて、子どもの睡眠について心配している養育者への相談・支援を開始した。アクチグラフによるデータ収集の結果をグラフ化し、養育者と生活リズムについて話し合う機会を持つことで、心配事の解消、生活リズムを整える方策の提示、といった効果が期待できる。今後は、極低出生体重児とその家族を対象に、生活リズムを整え、発達障害などを含めた成長発達を見守り、かつ母親の育児ストレスの軽減を目的とした援助をプログラム化することが必要であると考える。
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