わが国では性感染症(sexually transmitted infections:以下STI)が増加の一途にあるが、未婚就労女性のためのSTI予防行動やSTI早期発見・早期治療のための検査受診行動を支援するプログラムは見あたらない。研究者は、保健信念モデル、社会的学習理論を用いて、未婚就労女性のためのSTI予防行動・検査受診行動促進プログラムを開発した。プログラムは1セッション60分であり、講義35分、視聴覚教材(DVD)の視聴13分、技術練習12分、質疑応答で構成している。DVD、講義用パワーポイント教材、配布資料冊子は研究者自身が制作した。 本年度は、準実験方法と半構成的面接調査方法を用いてプログラムの効果を検証した。結果、プログラムは未婚就労女性のSTIに関する知識とコンドーム使用の正しい知識と技術を向上させ、毎回コンドーム使用を促進させ、またパートナーとSTI予防についてのコミュニケーションにも役立っていた。よってプログラム有効性を明らかになった。プログラムは、1セッション60分のため、職場において実施可能であり、産業保健(看護)で活用できる。そこでプログラムの普及を図るためのプログラム実施者に必要な能力を明らかにすることを目的に看護職者を対象としフォーカスグループ・インタビューおよび自由記述質問紙による質的帰納的研究を開始した。看護職者を10人以下の小グループにして、プログラムについての説明を行った後、プログラムの内容・進め方やプログラムを実施するために必要な能力、条件、環境などについてインタビューを実施する。研究の倫理的配慮は所属大学の研究倫理委員会の審査を受け承認を得た。本年度は2グループのインタビューを終えた。次年度はさらにインタビューを実施しデータ収集後、分析を行う予定である。得られた結果については、所属学会等で公表していく予定である。
|